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2016/05/15

Weingott

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1940年~1970年代(家族経営終了後~カドガン買収前)に製作されたパイプです。
モンペ伯のHPで「The Windsor Magazine - 19世紀末 英国パイプ製造事情」読んで以前から興味がありました。
  
1859年(安政5年)、サミュエル・ウェインゴット氏は、ロンドンのフリート街に工房を構えました。
1855年にスタンプ税が廃され、フリート街には次々と新聞社や印刷工場が立ち並びます。
イギリスが「近代新聞の母国」と言われた時代の始まりです。
娯楽の少ない当時、労働者はビヤホールや酒場で新しい新聞雑誌を読みあさったとあります。
1867年にイギリスの新聞社は2304紙に達します。

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ウェインゴット氏は、インクの匂いが漂うフリート通りを愛していたそうです。
街角のパブには三文記者と印刷工であふれていた事でしょう。
そんな街中にあるパイプ工房ショーケースに、皆の憧れがあったのではないでしょうか。
「Weingott」はドイツ語で「ワインの神=バックス」の意味もあり、酒飲みファンが多かったかもしれません。
 
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しかし、世界恐慌後、経営難で一族経営が終わりますが、ウェインゴットは高品質を維持続けます。
新聞街という土地柄、独自の支援が受けられた可能性はあります。
 
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後年カドガンに買収され品質を大きく落とす事になりますが、Pipediaには以下のように記されています。
 In 1980 Cadogan bought the brand and, according to many pipe smokers, effectively killed it.
 1980年にカドガンはブランドを買収しました。パイプスモーカーに言わせると実質殺されたようなもであったと。
 
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このパイプにはありませんが、サンドブラストには「The Templebar Briar」と隣接する通りの名前が刻印されています。
テンプルバーは、アイルランドダブリンの中心地の地名で、17世紀初頭にウィリアム・テンプル卿が家と庭園を造った事に由来します。
ロンドンのこの一角はダブリンを模しており、西にエセックス通り、東にフリート通りが隣接しています。
 
 ・全長:140mm・ボウル高43mm
 ・外径:27.5mm・内径:17mm・深さ39mm
 ・重量:22g
 
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刻印は「WEINGOTT LONDON」のみで1940年以降を示します。。
戦前モノを探していたのですが、この「倒れる時は前のめり」感のあるシェイプが気に入りました。
ダークな色合いですが日の下では派手な赤丹色になります。
小振りで鋭角的なデザインはビジネススタイルで好まれそうなデザインです。
 
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外観:4
感触:4(咥え心地)
味:3(オールラウンド用)
 
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まだ届いたばかりなのであまり吸っていいませんが、デュポンのようなナッツ感があります。
独自のキュアリングや、高い工作精度、高品質ブライアー商流もおさえていた「S.Weingott & Son」
じっくりと味わってみたいと思います。
 
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Yahooオークションの商品紹介
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Dunhill 台頭以前の19世紀後半~20世紀の初頭、Comoy's、Bariling、BBB、Loewe、Charatan 等のビッグネームと比肩しうる存在だったのが、S.Weingott&Son のパイプだったといわれています。
以下、英国製ヴィンテージ・パイプの紹介サイトとして有名な “Ye Olde Briars(YOB)”の記事に依拠して説明します。
ロンドンのフリート街で店を営んでいたタバコニストSamuel Weingott(サミュエル・ウェインゴット)がブライヤーパイプの製造を始めたのは1860年代。
フランスからの職人を擁する工房で、1933年に死去するまで質の高いパイプの製作を続けていました。
サミュエルの死後、息子の代になると経営難に陥り、会社の権利は他人の手に渡りますが、1970年代にCadoganグループの傘下に入るまでは、同一ファームで製作が続けられていたといいます。
出品したパイプは、YOBでは「ライン名はなく、シャンクファーサイドに WEINGOTT LONDON のスタンプがあるのみ」と説明される、家族経営時代の後、Cadogan時代以前の製品です。
この時代の Weingott はパイプの質は family era より下がるものの、
「不思議なことにPre-CadoganのWeingottにおいてはそういった製品でも優秀な喫味を保っており、ブライヤーの質やキュアリング方法にあまり変化がない。人手に渡ると極端に質が落ちるメーカーが多かった英国パイプの中でも」
珍しいといわれる、その一品です。
出品したWeingottは、全長140ミリのほっそりとしたダブリン・シェイプ。
表面は、半面が Bariling’s の fossil を思わせるような、ワッフルのように見えるサンドブラストです。
シャンクとマウスピースの継ぎ目はなだらかにつながって、ていねいに工作された、どこか女性的な優美さをそなえたパイプだと思います。
ボウルを左側にしたシャンクの底面、ステムに近いファーサイドに WEINGOTT LONDON と刻まれています。
ボウルトップに、やや焦げ跡が見えています。
マウスピースはバルカナイト(エボナイト)製。リップの上側に深さ1ミリ弱の凹みがあります。
テノン(ダボ)は、きれいな状態です。
 全体の印象:おそらく50年以上の経年にしては、使用感は少ない印象です。
 ボウル表面:ボウルトップに熱による変色が少し見られます。
 ボウル内側:カーボンの付着はごく薄く、きれいです。
 リップ :上側に凹み、下側は極小の傷が少し見えますがきれいです。
 パイプ全長:140ミリ
 ボウル高さ:43ミリ
 ボウル外径:27.5ミリ
 ボウル内径:17ミリ
 火室の深さ:39ミリ
 パイプ重さ:22グラム


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