Dr.Grabow Silver Duke
このパイプは1949-1966年に製作されたDr.Grabowの「Silver Duke」です。
ボウルはクラシカルなプラムカラーです。
ステムはプラスチックの真っ黒な色で、ダボもスチールも工業的なカラーです。
しかし、この二つがシャープなエッジラインを描くと、なかなか美しいパイプに仕上がっています。
Dr.Grabowは1920年にパイプ好事家が集まり、アメリカンで最初のパイプ・メーカーを立上げます。
医師のグラボー博士親子と、フライフィッシング仲間の薬局店ブラウン氏、資産家のリンクマン氏です。
(リンクマンは女性だったとの記録もあるのですが詳細は不明です)
リンクマンは「パイプが医者の名前をつけていれば売れる」とし「Dr. Grabow」と命名します。
そして、戦後のパイプブームやコマーシャリズムの波に乗って北米でも有数のパイプメーカになります。
そして、戦後のパイプブームやコマーシャリズムの波に乗って北米でも有数のパイプメーカになります。
<Dr.Grabowの年譜>
1932年 シカゴ郊外のRacineに工場を建て、生産と販売を開始する
1932年 Pre-Smokeというブレイクインが不要のパイプを販売する
1943年 ノースカロライナにスパルタに生産拠点を移す。
1949年 社名を「Linkman&Co」から「Grabow Pipe Company Inc」に変更。
1952年 リンクマン社長(80歳)辞任。
1953年 パイプ生産は、Thomas (HLT),Incという会社に移管する。(分社化?)
1965年 グラボ―博士他界(享年97歳)
1969年 US Tobacco に買収される。
2000年頃 Lane Ltd. に買収される。
2006年 スパルタ工場で従業員62人で年間30万本生産している(工場見学可)
1932年にブレイクインが不要のPre-Smokeで売り出します。
上記の広告をみると専用の治具でボウル内を燻して出荷しているようです。
(この治具ではパイプが汚れるので水蒸気ではないかとの記載もありました)
(この治具ではパイプが汚れるので水蒸気ではないかとの記載もありました)
晩年Dr.Grabowは「ドラッグストア・パイプ」と安かろう悪かろうの代名詞になってしまいます。
しかし、安価で気軽に美味しいパイプを世に広めたと考えれば、その功績は大きいと思います。
刻印は左側「SILVER DUKE」「DR.GRABOW」
右側「IMPORTED BRIAR」「Ajustomatic(筆記体)」「PAT.2461905」
ステムにスペード
DR.GRABOWのシリーズ名は「duke」と名付けるのが好きなようで、現在も採用しています。
貴族の位・称号の1つでラテン語のdux(ドゥクス)に由来し、軍司令官、国境警備の意味があります。
日本では明治時代に五等爵(公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵)をベースに作られた「公爵」に訳されています。
・全長:150mm・ボウル高40mm
・外径:45mm・内径:20mm・深さ37mm
・重量:46g
アーミープッシュ部は、先にユニットとして作られてており、ステムとボウルに差し込まれているようです。
ダイアモンドシャンクとの面合わせは、作業的に少し大変ではないでしょうか。
外観:2
咥えやすさ:2
味:1(オールラウンド)
重量バランスは良く結構咥えやすいですね。
アーミープッシュで喫煙中にジュースが取りやすいのも便利。
他の作業をしながら、普段使いに気楽に吸えるパイプです。
<余談>
ドクターグラボ―を検索していて、英語のパイプ掲示版を見て思わず笑ってしまった。
Aさん「パイプ始めたいのですが、どれを買ったらよいでしょう?」
Bさん「Dr.グラボ―にしとけ。安いし薬局で売ってるだろ」
Cさん「いやいや、素人さんにはミズーリメシャムのコーンでは?」
Dさん「少しお金出してスタンウェルにした方が良いよ」
Aさん「とりあえず、コーンパイプを買いました」
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ヤフオクの解説
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当出品は米国最大手のパイプメーカー「Dr.Grabow」のグレード「Silver Duke」です。
現在は年間35万本生産しているメーカー、つまりそれだけの購入者がいるわけなので、それなりの良さはあると思います。
1930年に「M.Linkman & Co.,」のオーナー「Mr.Linkman」と友人の「Mr.Milford P.Grabow」「Dr.William S.Grabow」との談話で、新しいアイデアを導入させたパイプを製作したいがブランド名も一新したい。
そこで友人等の父親で医師の「Dr.Paul E.Grabow」の名前を借り「Dr.Grabow」と命名したいとの申し出で生まれたブランドです。
過去医者がパイプ製作に携わったことがないので、医者の名前を冠したら当たるかも知れないとの「Mr.Linkman」のアイデアだったそうです。
しかも当時、パイプの販売店はドラッグストアが多かったので、的を射たブランディングだと思います。
1931年からパイプの生産が始まり、新しいアイデアのパイプは大量生産に伴い大衆価格でしたので大ヒットしました。
新しいアイデアのパイプとは・・・、「Pre-Smoke」と称されるブレイクインが不要のパイプで、購入後すぐに喫煙できる手軽さのパイプです。
当時ブレイクインに時間が掛かるためパイプを敬遠されてたのをこの「Pre-Smoke」によって解消され、しかも身近なドラッグストアで大衆価格での販売もあってヒットしました。
そして1946年には売れっ子漫画家に書かせた新聞・雑誌広告が評判になり、ますますブランド名が知られ、会社は大きく成長しました。
「M.Linkman & Co.,」による生産は1955年まで続きその後、「Henry Leonard & Thomas Inc.,」が買収し、1969年に「United States Tobacco」が買収、2006年にはノースカロライナ州の工場を「International Pipes & Accessories LLC」に売却し、「United States Tobacco」を「Lane社」が買収と時代につれて変遷してます。
現在は「RJ Reynolds」が経営会社のようです。
当グレードには、1949年に特許取得した「Ajustomatic」なるアルミフィットメントシステムが施されてます。
これはステムのテノン(ダボ)部にネジ山が切られシャンクにネジ込むタイプのスクリューテノンで、そのテノンの煙道孔に脱着式の6mmフィルターが装着できるようになってます。
しかし装着するとドローが重くなるせいかフィルターなしで使用される方が多いようです。
(煙道が太いのか、フィルターなしだとドローがめちゃ軽く、ドボッと煙が入り込んできますので肺喫煙の方はご注意を!)
製作年度については、1946年1月25日申請で1949年2月15日取得のPat No.が打たれており、当時の米国特許法では存続期限は公表から17年と定められていましたので1966年までと割り出せます。
現在は1995年の特許法の改正で20年になってます。
グレード名は「Silver Duke」なので銀環かと思いきや、シャンクに巻かれてるのは銀メッキスチールのようです。
シェイプは曲線と直線のコラボで重鎮な力強さを感じさせるローデシアン・ベントです。
ボウルはブルドッグより低く、ラインを彫り込んだ張り出しはブルドッグより大きいのが特徴です。
仕上げはスムースでオールドプラムカラーを纏い、一目でヴィンテージ物と分かるのがいいかもです。
現在、ドラッグストアパイプと言われる「Dr.Grabow」、昔の味は?と気になる方、どうぞ宜しくご検討下さい。
思っていたよりは美味いかも、って思われたら嬉しいですね。
■商品状態
外観は目に付くバッティング痕やカケ、着火焦げ痕も少なく綺麗な方ですがチャンバー口に少々スレキズ痕があります。
ボウルチャンバー壁は、ほぼカーボンを落とした状態での目視ですが、軽度のクラックが見られます。
ステムは表裏リップ部に薄いスレ痕がありますが他、ワレ・穴等なく綺麗です。
当出品は画像のパイプのみで、オリジナルの袋や箱等は付属致しません。
■刻印・サイズ
・メーカー:Dr.Grabow
・シェイプ:Rhodesian Bent
・グレード:Silver Duke
・シャンク刻印左上側:「SILVER DUKE」「DR.GRABOW」
・シャンク刻印右上側:「IMPORTED BRIAR」筆記体「Ajustomatic」「PAT.2461905」
・ステム刻印左上側:ホワイトのスペード
・6mmフィルターに対応。
・全長:約150mm
・チャンバー径:約20mm
・ボウルの最大径:約45mm
・ボウルの高さ:約40mm
・チャンバーの深さ:約37mm
・重量:46g
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