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2017/12/25

Ken Pipes 17193 OC

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櫻井謙一郎氏のハンドメイドパイプで2017年9月の作品です。
オイルキュアを行っている日本人パイプ作家は少なく、前から興味がありました。
デザイナー出身だけあって造形やテクスチャ・着色等の技術は素晴らしいです。
内部も緻密な設計と、丁寧な仕上げで人気のあるパイプです。
 
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シェイプはダブリンで、イタリア産ブライアを使用と記載されています。
リンググレインとトップのバーズアイを出す為、少し前傾しています。
 
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オイルキュアは、ブライアを油に漬けて加熱するので、吸い味が変化するのが特徴です。
「濃くなる」「甘くなる」「ナッティーになる」「コクが出る」等、評価は色々です。
逆に「油くさい」「ブライアがもろい」「オリジナルの味でない」と厳しい評価もあります。
 
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Kenパイプは、オリーブオイルとラム酒でキュアリングをかけているそうです。
2016年は数名のパイプ作家でオイルキュアリングパイプが出ましたので、共同で開発したのかもしれません。
 

アッシュトンは、ブライアを油で8時間茹でて、オーブンで14日かけて油抜きするとあります。

  うろ覚えですが、前にどこかのHPで見たのですが、オイルキュアをチャレンジていた方法です。
   ・サラダ油とオリーブ油を同量入れて、約60度で1日煮る。
   ・更にお湯に変えて、2日程低温で煮る。
   ・日陰干しする。油がにじむなら再度湯抜きする。


油の調合や、煮込み時間、オイルを抜き取る工程、歩留まり等々、経験と手間と時間のかかる作業です。
油抜きの工程も大変で、短時間で材質を傷めない手法は特許になっているようです。
工程を減らす為、油を塗って加熱しただけもあった等の噂もあります。
しかし、オイルキュアリングは廃れてしまいました。

dunhillはモデルにより鉱物油の調合や漬込みを変更していたそうです。
sasieniはパイプの油抜き専用のオーブンを特許申請しています。
 
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海外のパイプ作家では、リー・フォン・エリック氏がオイルキュアリングを行っています。
 
<オイルキュアリングを行っていたメーカー>
 1960年までのバーリング Guinea Grain
 1969年まで:ダンヒル
 1970年頃まで:ウェインゴット
 1980年頃まで:コモイ
 1980年頃まで:サシエニ
 1970年頃:STデュポン
 2000年~2012年:ラディーチェ「oil cured」刻印(写真)
 Radice_oil_curing
 2016年まで:ファーンダウン
 2017年:アッシュトン(最近はオイルキュアしていないのでは?との話もある)
 
Img_e1915  
 
オイルキュアリングの主目的は、えぐみの樹脂を短時間で除去する事です。
副次効果として、繊維構造の変化によって吸水効果と、油分コーティングによる香りの変化。
 
オイルキュアリング最高峰は、1966~68年製のダンヒルShellで鉄板です。
今でもネットでは高値で取引されています。
 
Img_1916  
 
 ・全長:142mm・ボウル高47mm
 ・外径:38mm・内径:18mm・深さ38mm
 ・重量:28g
 
Img_e4209  
 
刻印は「KEN PIPES」「17193」「OC」
 
 
17年製で193本目のパイプの意味と思われます。(2012年頃まで前の三桁がシリアル?)
また、ナチュラルで2桁の刻印もあるので、トータル数でありませんが製作数に近い数です。
 
「OC」はオイルキュアリングの略です。
10周年記念パイプは「10」のモノグラムとダブルキュアリングの「DC」が刻印されています。
オリーブ油とラム酒で二度キュアリングをかけているとあります。
 
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外観:4
咥えやすさ:5
味:4(オールラウンド)
 
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黄金期のbruyereに近い上品な吸い味で、後半はコクと深みが増します。
ボウルからの香りも良く、なかなかの良いパイプです。
ただ、ダブリンは構造上、チャンバーが円錐状になり、後半に味が壊れやすい。
(徐々にタンパーワークを強めていくのですがあ、めんどくさいですよね)
 
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日本人の口に合わせて設計されている感があり、軽量で咥えやすいです。
細めの煙道からラッパ状に広がるリップエンドの作りも良いですね。
フィッシュテイルの滑らかなラインも見ていて美しいです。
 
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ちなみに、付属している濃紺の藍染の袋が綺麗です。
 
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<櫻井謙一郎氏プロフィール>
1965年:新潟県燕市出身
1989年:アトリエKENを創設しカリグラフィー、デザインの企画・制作を行う
2001年:長岡造形大学非常勤講師(~2008年)
2005年:本格的にパイプ製作を始める
2007年:HP「kenpipes.com」をオープン(http://www.kenpipes.com/home.html)
2016年:十周年で以後、オイルキュアリングのパイプを発売
 
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このパイプは奈良の「タバコセンター米田」で販売されていもので、今もオリジナル写真がHPに残っています。
http://tobacco-center.jp/search/item.html?n=ken10#1237
 
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徳富氏とのツーショットがありました。親子みたいですね
 
M6

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