Royal Copenhagen Junior
デンマークの1775年創業の陶磁器メーカー「ロイヤル・コペンハーゲン(以下RC)」の磁器製パイプ(1969-1984)です。
1969年デンマーク王フレデリク9世(1889-1972)は70周年を祝って二本の磁器パイプとジャーを進呈しました。
フレデリク9世は自分のブレンドタバコを作るほどのパイプ愛好家でした。
着香ではなく、オーソドックスなイングリッシュミクスチャをブレンドしたそうです。
Kong Frederik (English mixture) 「de My Own Blend」 Paul Olsen
着香ではなく、オーソドックスなイングリッシュミクスチャをブレンドしたそうです。
Kong Frederik (English mixture) 「de My Own Blend」 Paul Olsen
同1969年、RCは8種類の磁器パイプを販売します。
7種はクラシックシェイプ(アップル・ビリアード・ベント・ダブリン・ズル)です。
1つは遊び心でゴルフボールのシェイプになっています。
ちなみに、この時期のプロゴルフはアーノルド・パーマーとゲーリー・プレーヤーが激戦を繰り広げていました。
二年後、1971年秋にはロイヤル・コペンハーゲン主催でパイプのシェイプコンテストみ開いています。
ミッケやラスル、アンネ・ユリエといった新進気鋭の若手パイプ作家が競い、ダン・クリステンセンが評価しました。
この後もRCは新しいシェイプを加えながら販売していましたが、1985年頃のパイプ人気が衰退する共に生産を中止しました。
この後もRCは新しいシェイプを加えながら販売していましたが、1985年頃のパイプ人気が衰退する共に生産を中止しました。
「ジュニア(年少)」と名付けられた、このパイプは小さなアップルです。
もちろん、超兄貴「シニア(年長)」のシェイプもあります。
当時170クローネで販売されましたので当時の日本円で2万円前後(現在の3~5万円くらい)です。
(ちなみに超兄貴のシニアは253Krで現在の5~7万円くらいです)
その他のシェイプ名も「Golfer ゴルファー」「Executive 重役」「Skipper 船長」「Navigator 航海長」「Cosmopolitan 国際人」「Yachsman ヨットマン」と関連性のある名前でそろえています。
・全長:130mm・ボウル高:30mm
・外径:30mm・内径:18mm・深さ24mm
・重量:xxg
石膏鋳型を作るのはかなり大変だったようです。
魔法瓶と同じような中空構造や、熱収縮、ジョイント部の設計など。
鋳型の原型ができると量産が可能になるのがブライアとの違いです。
銀巻に「Staring」「Denmark」「AM」
初期はダボタイプのステムの接続です。
初期はダボタイプのステムの接続です。
試行錯誤しているようで、ボウル側ダボタイプやネジ込みタイプは後期と思われます。
そして、底面にはロイヤルコペンハーゲンの誇りでもあるバックマーク(3つの波線)があります。
デンマークを囲む3つの海峡「大ベルト」「小ベルト」「大スンド」を示しています。
ダボは磁器と金属が程よい抵抗感でおさまります。
磁器は焼く時に約15%収縮しますのでかなり精度が必要な部分です。
シャンクとボウルは別工程で製作されており、接合部がわずかに膨らんでいます。
飾り物と異なり、ジョイント部の工作精度の高さが求められる点がパイプのやっかいなところです。
シャンクとボウルは別工程で製作されており、接合部がわずかに膨らんでいます。
飾り物と異なり、ジョイント部の工作精度の高さが求められる点がパイプのやっかいなところです。
フローラ・ダニカから模写されたコペンブルーの植物柄は、そのまま飾っておくだけでも美しいパイプです。
外観:4
感触:4(咥え心地)
味:?
吸っていないで味は不明ですが、同じく磁器を作成していた有田静生氏によると
ブライアには及ばないが、十分においしいパイプ。との事。
タバコの燃焼や温まり方など、まったく異なるアプローチがされています。
RCはパイプ作家ヨーン・ミッケにパイプのデザインを依頼ました。
出社は不要で、自由に制作を行ってよいというパトロン待遇でした。
この時にデザインされたシェイプはミッケ代表となる「フグ(金魚)」や「尻われ」があります。
RCのパイプ製作歴史は以下のサイトが参考になります
有田静生氏の陶磁器製パイプについて
<ロイヤル・コペンハーゲン>
1775年、王室使用と親交のある各国の王室への贈り物を製作することを目的に設立されたのが、ロイヤルコペンハーゲンです。
格調のある芸術的な作品を作り続け、世界中の王室や上流階級から絶大な信頼を集めてきました。
繊細なレース技術、高度な手描きによる独特の絵柄、日本でも人気の高いコペンハーゲンブルーと呼ばれる独特の青。
すべてが伝統と誇りを守るクラフトマンシップによって受け継がれています。
1770年 鉱物学者フランツ ヘンリック ミュラー)が磁器制作に成功する。
177x年 ユリアナ・マリー皇太后がマイセンの技術者を集め、民間の窯を買収。
1775年 5月1日「The Royal Danish Porcelain Manufactory(王立デンマーク磁器製陶所)」創設
1853年 デンマーク国内2社目、民間企業の磁器工場「ビング・オー・グレンダール」開窯
1868年 民営化。王室はロイヤルの称号を残すことを条件に大商人ブラックに売却。
1884年 建築家アーノルド・クローをアートディレクターに任命。
1885年 ロシア女帝エカチェリーナ2世に献上するため「フローラ・ダニカ」の製作開始。
1987年 グレンダール窯と合併し「ロイヤル コペンハーゲン」社となる。
1969年 フレデリク9世は70周年を祝って二本の磁器パイプとジャーを進呈。
1985年 磁器パイプを販売を終了する
2012年 フィンランド企業フィスカース社に買収される
驚いた事に、ロイヤルコペンハーゲンという殺人技もあるそうです。
RCXと略される場合もあり、右ストレートによるパンチ技だそうですが、マッサージ的な威力しかない。
更に、左手で繰り出す「レフトハンドロイヤルコペンハーゲン(パンチ)という技もありますが、マッサージ以下の(ry
<フローラ・ダニカ植物図鑑>
1761年ロシアの女帝エカチェリーナ2世に献上するため、デンマークの草花150種を食器2600点に描くという企画。
12年の歳月をかけ3000種の図案化と製作作業を続けたが、エカチェリーナ2世が他界し中断された。
現在も植物図鑑の原画から絵付けのデザインが行われている。
ちなみに、シーボルト(1796-1866)が絵師川原慶賀に原画を作成させた日本植物図鑑「フローラ・ヤポニカ」もある
殺人技としてはRCXより強そうな名前ですが(--;)
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コメント
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陶器パイプおいしいという話もあるんですね!
勉強になりました!
投稿: クロフキン | 2018/07/14 13:31